WEリーグ 第9節 vs AC長野パルセイロ・レディース
MATCH REVIEW
監督コメント
■鳥居塚伸人監督
「天候が悪い中でも数多くのサポーターが来てくれた中で、勝点3をプレゼントできなくて申し訳なく思います。選手たちは頑張った中で、前半は落ち着いてボールを動かしていましたが、同点に追い付かれた失点の仕方(は課題)。セットプレーは分かっていながら、失点してしまった。90分の中で流れはあると思いますが、一度、相手に渡った流れをもう一度、自分たちに引き戻すことができなかったことは、まだまだ力が足りないということ。その原因として、準備が遅いとか、クオリティーがまだまだ低いことが挙げられます。細かい部分をしっかり修正して、次のゲームに臨みたいと思います」
Q:入りから先制までは今季の中でもベストに近いボールの動かし方、内容だったと思います。その中で、38分に一度、荻久保選手のところで取られて相手に決定機を与えた場面から、相手も勢い付いたように思います。試合前、「自信にすることはいいが、過信になってはいけない」という監督の言葉もありましたが、まさに少しの油断が出てしまった?
「まさしく自分たちからエラーを起こしたゲームになってしまったと思います。たった1本のパスですが、付けた方がいいのか、それとも付けてはいけないのか。その緩さが前半の間に少しずつ出てしまい、そこからFKという形になりました。自信を持って受けることはいいのですが、過信になった部分も少しずつ見えたゲームになったのかなと思います」
Q:今節は白垣選手がベンチにも入っていませんでした。話せる範囲で、その理由と不在の影響について
「試合前日に、コンディションが思わしくない、というところで急きょメンバーを変えました。ただ、誰が出てもやることは一緒なので、やるべきことをやろうと目を向けて、試合に入りました。前半の途中までは、やるべきことができていましたが、途中から自信が過信に変わってしまったなと。後半は、その自信も少し持てなくなった部分もありました。改善点が多く出たゲームにはなりましたが、誰が出ても同じことができて、さらに出た選手のストロングも出せるチームにしていきたいです」
Q:選手交代が1人に留まった理由について
「現状の選手でやるべきことをやれば(立て直せる)という判断でした。交代でどうパワーをかけるかと考えた時に、現状出ている選手の方が、パワーがかかると判断させてもらいました。もちろん、チームとして競争していけるチームになっていきたい思いはあります。今回、この流れで出られなかったサブメンバーは凄く悔しい思いをしていると思います。『なぜ使ってくれないの』という気持ちを、しっかりと自分自身に矢印を向けてもらって、このチームをさらにレベルアップできるような選手になって欲しいと思います。自分自身、交代カードを切れなかったことに対して、期待に応えられる選手になってくれることに期待したいと思います」
選手コメント
■田中智子選手
Q:ついに今シーズン初ゴールです。決まった瞬間の思いは?
「良かったです(笑)。ボールを抑えようと思って蹴ったら入ったので、嬉しかったです」
Q:高和選手の落としたボールをダイレクトで決めました。あの判断については?
「ゴロで落としてくれると思って入ったのですが、浮いていたので。ただ、浮いていたことで、逆に力まず打てたのかなと思います」
Q:ホームで勝ち切れない試合が続いています。悔しさもあるのでは?
「毎回たくさんの方が応援に来て下さっているので、ホームで勝利を届けることは大事だと思ってプレーしています。次はアウェイですが、その次のホームでは絶対に勝てるように頑張りたいです」
■矢形海優選手
Q:いい入りをして先制できたゲームでしたが、途中からは相手の圧も感じた試合になりましたか?
「相手は遠くからでも足を振ってくることは試合前から全員が把握していたのですが、そこでやられてしまった。自分たちの詰めが甘かった。前半、いい形でボールも回して、いい時間帯で(田中)智子が初ゴールを決めてくれたので良かったですが、追加点のチャンスもあった中で決め切れなかったことは、自分を含め、前の選手の反省点でもあります」
Q:相棒の田中選手の今季初ゴールは嬉しかったのでは?
「本当に嬉しかったですね(笑)。入った瞬間、本当に嬉しかったです。しかもああいう、ボレーシュートという珍しいゴールで先制できて良かったですが、逆転されてしまい…。トモが決めたので勝ちたかったのはヤマヤマでした。自分も後半、2度ほどチャンスがあったので、そこで決めておけば、まだいけたと思うので、悔しい気持ちでいっぱいです」
■荻久保優里選手
Q:今節はボランチでの先発となりました。意識されたことは?
「自分の特長はロングフィードや縦パスなので、前を向いた時に、FWやサイドハーフの選手が背後に抜け出した時は狙うようにしていました。それで相手がつられたら、真ん中のスペースも空きます。そこで麗奈さんや芹夏がボックスで受けられる縦パスも狙ってボールを運ぶことを意識していました。自分がパスを受けた方がいいのか、状況を見て、味方を使って受けた方がいいのか、そこは課題も残りました」
Q:ボール保持の際は自身がアンカーに入り、脇阪選手が一つ上がるシーンも多いです。そのあたりの役割について
「麗奈さんのスタイルは、前への推進力が凄くあります。麗奈さん自身も運べるし、ワンタッチで矢形選手にパスを出してチャンスメイクもできます。前の組み立てや攻撃は任せて、後ろは自分が組み立てつつ、守備でも相手を消すことは心掛けていました」
Q:入りは良くて、ボールの運びもスムーズでしたが、失点の直前は、自身にパスが入ったところを狙われるシーンも続きました。振り返って、こうした方が良かった、という思いは何かありますか?
「変に(ボールを)持ってしまったことは、自分が改善しないといけません。自分たちの深い陣地、しかも真ん中で、長く持ってルックアップしてしまった。受ける前にもっといい準備をして、シンプルにワンタッチ、ツータッチでつなぐこと、そこの判断をもっとハッキリすれば良かったと思います」
Q:チームとして、いいビルドアップができていたからこそ、少しの油断というか、チーム全体として、隙を作ってしまった感も否めません
「持ち過ぎたというか、場所も悪かったですし、1回取られた後、少し慌ててしまった。そういう時は、ワンタッチでリターンするとか、なるべく自分を落ち着かせるボールの動かし方ができれば良かったと思います。ボールを受けて運ぶことはこれからも続けていきますが、試合の中で改善していくことが大事だと思います」
■筒井梨香選手
Q:入りは素晴らしかったですが、悔しい逆転負けに。振り返ると?
「前半は良かったのですが、後半になって距離感が崩れてしまい、ビルドアップの部分で、付けたいところに付けられず、(相手のプレスに)ハマってしまったシーンが多くなってしまった。急きょメンバーも変わったのですが、そこを補えなかった自分の力不足も感じています。3失点もしてしまったことは、自分たちも、まだまだだと思います」
Q:前半の終盤、荻久保選手に入ったボールを取られて相手に決定機も作られました。そこから相手も守備のスイッチが入った印象もあるが?
「どんどん付けて、優里のところで勇気を持って受けることはこのチームには必要なので。どれだけ相手が狙っていようが、自分もうまく操りながら、チャレンジすることはこれからも続けていきたいです」
■山下莉奈選手
Q:逆転負けという結果になりました。悔しさもあると思いますが、試合を振り返ると?
「前半の最初の方はボールもうまく持てて先制できたことは良かったですが、前半の終了間際に追い付かれて、後半も最初に連続して決められたので、課題も残った試合になりました」
Q:入りは今季の中でもベストに近い内容だったと思います。押し込まれた前半の終盤も、山下選手自身は好セーブを連発していましたが、今日のパフォーマンスについて
「1失点目にしても、弾く場所が(悪かった)。CKに逃げていれば失点もなかったと思うので、そこはもっと徹底して、改善したいです」
Q:ホームで勝てない試合が続いています
「たくさんのお客さんが入ってくれている中で、勝って全員で笑って喜べることがホームの良さでもあるので。アウェイでももちろんですが、ホームでもっと勝たないといけないと思います」
良い入りから田中智子の今シーズン初ゴールで先制も、3失点を喫して逆転負け。今季初の連勝はならず
3-1で勝利した前節のマイナビ仙台レディース戦から中6日。セレッソ大阪ヤンマーレディースは、ホームに戻り、連勝を目指してAC長野パルセイロ・レディースとの2024-25 SOMPO WEリーグ第9節に臨んだ。先発はマイ仙台戦から2人変更。宮本光梨と白垣うのが外れ、筒井梨香と中谷莉奈がスタメンに名を連ねた。この試合は荻久保優里がボランチとして先発。4バックは左から中谷、筒井、米田博美、中西ふうが並んだ。
試合は立ち上がりからC大阪がペースを握る。長短のパスを使い分けたビルドアップで相手にプレスの的を絞らせず、スムーズに敵陣に入っていくと、10分に決定機。高和芹夏のパスから左サイドの背後を取った脇阪麗奈が逆サイドへ正確なクロスを送ると、走り込んだ中西がフリーでシュート。ただし、ここは枠に飛ばすことができず、クロスバーを越えた。惜しくも先制とはならなかったが、ボール保持の際は荻久保がアンカーに下がり、脇阪と高和がインサイドハーフから前に出ていく形が機能したシーンだった。14分、この試合は一つ高い位置を取っていたAC長野の稲村雪乃のペナルティーエリア内への進入に対し、筒井が体を寄せてボールを奪うシーンがあったが、このプレーで稲村が負傷交代。AC長野は三谷沙也加がトップ下に入った。ここから相手にボールを握られる時間も増えたC大阪だったが、田中智子がキープして矢形海優が背後に抜けるシーンなど好機も作ると、31分、先制に成功する。筒井のロングフィードを高和が胸で収め、浮いたパスで落とすと、受けた田中がダイレクトボレー。「浮いていたことで、逆に力まず打てた」と自身も振り返ったように、コンパクトにミートしたシュートが見事ゴールに吸い込まれた。背番号8に生まれた待望の今シーズン初ゴールに沸くヨドコウ桜スタジアム。この得点で試合の主導権も握りたいところだったが、前半の終盤はピンチの連続に。38分、ゴール前で筒井が荻久保に付けたパスを狙われると、奪ったAC長野の菊池まりあがミドルシュート。枠内の際どいコースへ飛んだが、GK山下莉奈が好セーブで防いだ。続く39分にも中央で荻久保が奪われてAC長野に決定機。再び山下の好守でしのいだが、40分、ここで与えたCKから3度目の被決定機。ただし、枠内に入った相手のシュートは矢形がクリア。何とか失点は免れた。一連のピンチをしのぎ、このまま前半を終わらせたいC大阪だったが、43分、FKからの2次攻撃で、ネットを揺らされてしまう。一度は川船暁海のシュートを山下が防いだが、弾いたボールをDFがクリアし切れず再び川船にこぼれたところ、今度は決められた。危なげない試合展開から一転、前半の終わらせ方で、ややプレーが軽くなったところを相手に狙われ、同点に追い付かれた。
後半、最初のチャンスはC大阪が迎えたが、背後を取った田中が狙った矢形へのラストパスはわずかにズレて、フィニッシュには至らず。すると50分、相手のショートカウンターから自陣左サイドを突破され、AC長野に勝ち越しゴールを許してしまう。後半は「距離感が崩れてしまい、ビルドアップの部分で、付けたいところに付けられず、(相手のプレスに)ハマったシーンが多くなってしまった」と筒井も振り返ったが、AC長野の前からの圧力も強まり、C大阪は前半のようにつないで前進するシーンを作れない。66分には、相手のスローインから再び自陣左サイドを崩されて、AC長野に3点目を決められた。直後の67分、鳥居塚伸人監督は田中に代えて浅山茉緩を投入すると、ここからC大阪が反撃開始。73分には、サイドを崩して浅山のパスから矢形が決定機を迎えたが、シュートはわずかに枠の外。74分にも荻久保のパスから背後を取った高和がヘディングで狙ったが、GKに防がれた。その後も再三、ゴールに迫ったC大阪だったが、追撃の1点を奪うことはできず、1-3でタイムアップ。後半アディショナルタイムに失点して0-1で敗れた昨シーズンに続き、今シーズンもホームでAC長野に苦杯を嘗める結果となった。
これで今シーズン、ホームでのリーグ戦は、開幕戦でノジマステラ神奈川相模原に勝利して以降、1分3敗と勝利がない。「毎回たくさんの方が応援に来て下さっているので、ホームで勝利を届けることは大事だと思ってプレーしています。次はアウェイですが、その次のホームでは絶対に勝てるように頑張りたい」とは、この試合でゴールを決めた田中。アウェイでちふれASエルフェン埼玉と対戦する次節を挟み、INAC神戸レオネッサをヨドコウ桜スタジアムに迎える次々節こそ、現在、無敗で首位を走る相手だが、集まったサポーターに歓喜を届ける試合を披露したい。