2020プレナスなでしこリーグ1部-第3節-VS-日テレ・東京-3

2020プレナスなでしこリーグ1部第3節vs日テレ・東京ヴェルディベレーザ試合後のコメント

【森栄次監督】

「前半0-0で帰ってきたことが少し大きいかなと思います。前半を0-0で帰ってくれば、後半に清家(貴子)を入れて活気のある右サイドになろうか、もしくは、トップに入れて、もう少しトップに重みを持とうかな、と思ってやっていました。半分ですけど、思い通りにいった感じです」

[質疑応答]
(ハーフタイムの交代だが、試合前からプランとしてあったところと、前半の内容を見てという面が両方あると思うが、ハーフタイムからいこうという確信めいたものがあったのか?)
「それは流れです。とにかく前半の流れで耐えられるのか、耐えられないのか、そこを見て耐えられそうだったので、前半は我慢して、後半から勝負と思いました。清家の足の具合とかありましたので、ドクターに聞いて、半分ぐらいなら可能だろう、もしくは残り20分くらいでも考えていました。その清家の使い方です。そこが自分の中では、そこが今日のポイントだと思っていました」

(ハーフタイムの交代で猶本光選手が交代したが、その理由は?)
「ボールを回すことを昨年やってきた選手は、昨年1年間を通して、割とボールを回すというかコンビネーションのところは、まだ猶本の場合は、うまく入りきれていません。個人的にはパワーもあるし、キック力も持っているので、すごくいい選手だと思います。でも、その周りとのコンビネーションというか、今そんなに行かなくてもいいよ、とか、今行くべきだ、とか、そこは裏を狙うべきだ、とか、そういったところのコンビネーションが周りと少しズレがあるので、そこのところを猶本の場合は、ゲームを通しながらうまく使っていきたいと思っています。彼女はセットプレーを持っているので、それも大きな武器だと思っています」

(相手のゴールキックのときに、約束事をたくさん作って詰めていったと思うが、怖がらずにやり切るメンタルもないと、あれはやれないと思うが、この試合に向けての働きかけについては?)
「やっぱり向こうは4-4-2のトップ下の小林里歌子、その辺りが下がってボールを受けると、受けてターンして、前を向いてフリーにすると結構厄介なので、まずそこをなくそうと。そこで、長船(加奈)を1個前に出して、ラインで守るのではなくて、パーツ、パーツで守ろうということを言いました。うちの場合、後ろの2枚が割と強いので、上でもいけるし、脚力でも負けていないので、そこは今のあのメンバーだからできるところもあります。それで、その2人もいいところを掘り出して、もちろんギャンブル的なところもありますが、そうやって成長できると思います。

例えば、左のサイドバックの選手もそのときは中に入れ込んだりとか、マンツーマンにしたりして、そういうところは、(日テレ・東京ヴェルディ)ベレーザの場合は、選手一人ひとりがうまいので、やっぱりある程度厳しいプレスを掛けないとなかなか取れないかな、というところはありました」

(以前問題視していた運動量の部分だが、後半の最後まで囲んで奪うというところが徹底されていたと思うが、その辺りで、良い変化をどのように感じているか?)
「彼女たちも終わってから言いましたが、すごく成長しているところは評価しています。ボールを取ってすぐ前線に蹴って、相手ボールにするのではなくて、取ったらもう一度、自分たちでボールつないでというところが、すごく評価ができるポイントだと思います。一人ひとりアグレッシブに出ているので、運動量という意味では、前線の選手からもそうですし、中盤の選手もそうですし、すごく最終ラインの選手がはっきり分かるディフェンスの仕方をしてくれているので、すごく後ろも分かりやすくディフェンスできたと思います」

(メンタル面の話になるが、自信を持って選手がやっていたように感じるが、そうところの働きかけ、もしくは選手のメンタルの強さみたいなものを感じた部分はあるか?)
「そこまではそんなにはないです。日頃とか、練習でもそうですし、試合を重ねていくうちに、みんなが自信を持ってできるようになってきているので、例えばビハインドになっても、点を入れにいけるという自信というか、何かそういう貫禄というか、そういうものが少しずつ少しずつですが、付いてきているのかなと思っています。特に大した働きかけはしていません。自分たちでうまく話し合いながらというのもありますし、今のそういう流れを私がいろいろああだこうだ言うのではなくて、割と自分たちでやってくれているので、すごい助かっています」

【南萌華】

「リーグが始まって初めてのホーム戦でしたが、ベレーザが相手でなんとしても勝利したかったので、ホーム開幕戦を勝利で終えることができて良かったなという気持ちです」

[質疑応答]
(前からはめこむ守備を嫌がってベレーザがロングボールを多用してきた際のリスクマネージメントについてどう考えていたのか?)
「今日のゲームはベレーザの形として前からはめたらロングボールを蹴ってくることは、チームとして予想していましたし、フネさん(長船加奈)とも『今日はセンターバックの潰し合いがカギになるね』という話をしていました。その役割は90分を通して対応できたので、失点ゼロで抑えられたのもそこで潰せていたからなのかなという印象です。個人としてはまだまだですが、チーム全体として勝利できたことで今日は勝てていたのかなと思います」

(前半はサイドで奪いきれずに逆サイドに散らされて危ないシーンもあったが、その対応はどうだったか?)
「前半のうちに失点したくなかったので、何度かピンチはありましたが、全員でカバーし合いながら失点なしでいけました。ただ、そこは次の試合に向けて改善していくべきところだと思いますし、明確になったので、今日の危なかったシーンを次の試合に生かしていきたいと思います」

(森栄次監督から「今日は前線からの守備でどこにボールが出てくるかがわかりやすい守備ができた」という話があったが、その点についてはどうか?)
「自分とフネさんのところでボールをカットできたのは前線の選手がいいコースの限定をしてくれたり、プレッシャーを掛けてくれていたからだと思います。自分たちのところでプレッシャーを掛けやすい状況をつくってくれたので、そこは個人の力だけではなくてチーム全体として狙った守備が、はまったのかなという印象があります」

(今日の守り方はマンツーマンに近い追い方で1人がやられるとそこから崩れていくこともありそうなやり方で、後ろから前の集中させることも大事だったと思うが、チーム全体のメンタルなどはどうだったか?)
「90分間全部前からいくのはチームとして体力的に厳しいところがあると思っていたので、後半は一歩ラインを下げたところからスイッチを入れたときにチーム全体が連動して守備に回れたかなという印象があります。そこはディフェンスラインだけの声掛けではなくて、ボランチの選手とも話しながら試合を進められました。チーム全体として守備の進め方を共通理解しながらできたので、今までのベレーザ戦と違って90分間集中して守備ができたと思います」

(今までのベレーザ戦は先制しても追いつかれたり逆転されたりすることがあったが、ゼロで抑えられた理由は?今日は自信を持ってプレーしているように見えたが、特にメンタル面としてどうだったのか?)
「リーグが開幕してから2連勝できていましたが、2試合ともチームとして失点が多い状況が続いていたので、改めて守備のところを気をつけながらやろうという意識はチーム全体としてあったと思います。ベレーザ戦で失点してしまうと昨年と同じように連続で失点してしまうことがありますし、チームとしては攻撃というよりは守備を特に意識して臨めたので、それが失点ゼロにつながったと思います。あとは練習の中でも全体の意識が合っていて、チームとして自信がついているという印象があるので、プレーにも思い切りがありますし、チームとして一体感が去年と比べてあるのではないかと思います」

(毎年、夏場は苦しい試合が多いと思うが、今日は最後まで前から走れたというところで試合中の修正する質も上がっていると思うが、運動量についてはどのように感じているか?)
ベレーザ戦は特に守備で力を使うことが多いので、マイボールになったときになるべくボールを保持して体力を消耗しないようにということを、試合前に森監督からも言われていました。ベレーザを相手に自分たちの持ち味であるビルドアップが少しずつできるようになったことが90分間しっかり戦えるようになった要因だと思います。今日の勝利をしっかり自信につなげて、自分たちのサッカーを続けていきながら暑い時期をしっかり乗り切れたらいいなと思います」

(来年のリーグのプロ化が決まっている中で今年は女子サッカーの魅力をどう発信していくかが課題になってくると思うが、チームとして、また南選手個人としてどういう魅力を伝えていきたいと考えているのか?)
「まずは何より見ていただいている方たちが楽しめるサッカーをすることが女子サッカーの普及につながると思っています。プロ化するにあたって、それに恥じないようなサッカーをしたいですし、プロ化の前になでしこリーグでしっかり結果を残しながら、たくさんの方に試合を見てもらえるようなサッカーをしていくことが大事だと思っています。浦和レッズレディースとしてたくさんの方を魅了できるようなサッカーをチーム全員でやっていけたらいいなと思っています。リーグが開幕してそれほど経っていませんが、今シーズンを通して成長した姿を見せて、たくさんのファン・サポーターの方を虜にしたいと思います」

高橋はな

「勝てて本当にうれしいですし、チーム全員が一丸となって練習を積み重ねてきた結果が出せたので、それが今後の自信につながると感じています。それと、今シーズン初の有観客試合ということで、本当にたくさんの方の応援が本当に力になりました」

[質疑応答]
(後半開始から前線に上がったが、森栄次監督からの指示や自身で意識したことは?)
「1つの狙いとして、前にターゲットを2枚置くことで相手が不安になるのではないかということは、練習から話してやっていたことなので、そういうこともあるということは試合前からチーム全員が分かっていたことです。個人としては前線に入った分、前からの守備やゴールに貪欲に向かうことは、より意識して後半に臨みました」

(ゴールシーンを振り返って)
「得点はチームとしての前から奪うという狙いどおりにいって、最後は塩越(柚歩)選手から『触るだけ』というボールが来ました。自分はただ中にいて触っただけなのでみんなに感謝したいです」

(今日はFKを二度、直接狙って一度はクロスバーに当たったが、FKはどんな役割分担でどのように練習しているのか?)
「練習終わりや自主練習のときに、最近はシュート練習に取り組んでいたので、自分のシュート力で狙えるかなと思って蹴ってみました」

(塩越選手とどちらが蹴るかはその場で決めているのか?)
「そうですね。本当にその場でした」

(今年のチームでこれまで以上に自分の武器が生かされている感覚はあるか?)
「自分の武器ということは難しいところもありますが、新しい選手が加入したり、チームがどんどん良くなっていく中で自分が置いていかれないように、もっともっと良い選手になっていくために練習に取り組んでいます。チームが良くなっていく中で、自分が良くならないという状況にはなりたくないです。チームに必要とされる選手になるということもそうですし、自分自身がもっともっとレベルアップしていきたいという気持ちで毎日取り組んでいます」

(武器というよりはバランス良く伸ばせるようにチームと共にやっている感覚なのか?)
「チームの中で、ということもありますが、チームのやり方にフィットすることも大切ですし、個人としてはもっともっと個で突破したいということも考えています。フィジカルのところや技術のところは自粛期間にも取り組んでいたことなので、これから成果を出せればなと思います」

(昨シーズンのリーグでは優勝しようとすれば、日テレ・東京ヴェルディベレーザINAC神戸レオネッサに勝たなければ難しいということがあったシーズンだったと思う。そのベレーザに直接対決で勝ったことについてどういう思いがあるのか?)
ベレーザと対戦するとなると個人としてもチームとしても『絶対に勝たないといけない』とみんなが燃えると思います。そういう意味でもチームが今やろうとしていることをやりながら強いベレーザに勝てたことは全員の自信につながると思います」

(実際にベレーザは下部組織のメニーナから強いチームでずっと戦ってきたと思うが、苦手意識があるのか?)
「本当に全員が技術も高くて組織としてもすばらしいチームなので脅威になる相手ですが、そこに勝っていかないと優勝はないということはずっと言われてきていますし、そこで負けてしまうとリーグ優勝は厳しくなります。勝ちたいという気持ちがあるので、苦手意識というよりはチャレンジャーとして臨んでいる感覚です」

(ディフェンスラインから前線へ、という起用法はこれまでもされていると思うが、どちらがやりやすい、本当はどちらでプレーしたいという気持ちはないのか?)
「それは結構聞かれることですが、どのポジションに入っても自分の良さを出せるようにしたいと思っていますし、ディフェンスに入っても攻撃に入っても自分の持ち味である強い気持ちを前面に出して戦うことは変わりません。ポジションにそこまでこだわってはいませんし、いろいろなポジションをやることで、いろいろなポジションに必要なことや『こうしたら相手は嫌がる』ということも日々勉強できるので、逆に良い経験をさせてもらっていると思います」

(アンダー世代で一緒にプレーしていた植木理子選手や宝田沙織選手はすでにA代表でプレーしている。高橋選手もリーグで活躍して早く追いつきたいというモチベーションはあるか?)
「もちろんA代表は小さいころから目指していますが、今はそこに囚われるというよりは自分自身をもっと伸ばして、このチームで優勝したいということしか考えていません」

(来年からプロ化されるのでなでしこリーグという形は今年で最後になる可能性が高いが、今季に懸ける思いは?新型コロナウイルスの不安もあれば併せて教えてほしい)
「思うように練習ができなかった期間も自分は目標を見失わずに取り組めたと思いますし、なかなか我慢が続く時期ですが、このチームで優勝したいという思いは、ずっと消えていないので、なでしこリーグという形は最後になってしまうかもしれませんが、このチームで優勝したいという気持ちだけです」