「いつもどおりのサッカーをすることが優勝一番

勝利すれば2014年以来のプレナスなでしこリーグ1部優勝が決まる愛媛FCレディース戦を4日後の8日(日)に控え、南萌華がWEB会議システムを使った会見を行い、8日の愛媛FCレディース戦に懸ける思いや意気込みを語りました。

【南萌華】

(優勝に王手がかかるところまで来たが、今の率直な気持ちは?)
「今は本当に目の前に優勝が転がっているというか、そこまで来たなという感じですが、去年も自力で優勝がつかめるような状況で逃してしまったという経験もあって、正直まだ気が抜けないというか、優勝に一番近い位置にいますが、優勝をつかみ取ってからではないと気が抜けないというか気が緩まないなというのが正直な気持ちです。早く優勝して緊張から開放されたいなというのが正直なところです

(去年はあと少しというところで優勝を逃して悔し涙を流したと思うが、去年と今年と比べてどういったところが成長したのか?)
「個人的に去年と違うなと思うのは、勝負強さだと思っています。昨シーズンはぎりぎりのところで1点差で負けてしまったり、後半に同点にされてしまった試合もあったと思いますが、今シーズンは逆に1点差で勝利できたり、後半の最後に得点をしてしっかり勝利できたりしたところが昨シーズンと違っています。チームとして勝負強さが付いたかなと思いますし、前期で勝ち点3を多くつかみ取れたことが今、優勝が目の前にあるという状況を作り出してくれたのかなと思います。昨シーズンとは勝負強さ、勝ち切るというところが違うのかなと思います」

(レッズレディースの1つの特長として良い守備からの良い攻撃が挙げられると思う。サイドバックが高い位置をとっていくが、もう一人のセンターバックやGKとのトライアングルのリスクマネジメントについての手応えはどうか?)
「昨シーズンから引き続き森(栄次)監督のもとでプレーしていて、センターバック二人はリスクがありながら毎試合プレーしています。昨シーズンはそれが難しいなと思うこともありましたが、今シーズンはそのリスクを楽しみながらプレーできているというところもあります。一段と森監督のサッカーをチーム全体に落とし込めていると思いますし、チーム全体で今のサッカーを楽しめているなという感じもあるので、やりがいを感じています」

(勝負強さについては具体的にどういうところが出るようになったのか?)
「勝負強さに関しては、簡単に言うと昨シーズンであれば負けていた試合を引き分けにできたり、引き分けだった試合を勝ちにできているということが一番大きな違いかなと思います。昨シーズンに比べると後半での得点が増えているということで、交代で入ってきた選手がしっかりチームのために戦ってくれて結果を残してくれていると思いますし、誰が試合に出てもチームがやりたい守備や攻撃が崩れないというところが昨シーズンと比べるとより一層強さを増したと思います。そのことで後半での得点や勝ち切ることにつながっていると思うので、そういうところが昨シーズンとは違うのかなと思います」

(長船加奈選手とのプレー面での関係性はどうか?)
「フネさんとはお互いにプレーの特長をしっかり理解した上で毎試合プレーしています。フネさんは人に強かったり、うまくカバーリングをしてくれたりということもあるので、自分が人に強く行ったときは後ろでしっかりカバーしてくれているという安心感がありますし、逆にフネさんが人に強く行ったときは自分がカバーに行きやすいということもあります。プレーをはっきりできるというか、悩むことなくお互いが思い切りプレーできています。

普段の練習からそういうところの連係も意識してやっているので、自然と阿吽の呼吸のようなものができていると思います。お互いの良さを生かしながらプレーできていると思います」

(チーム全体として話し合う時間が増えたのではないかと栗島朱里選手や塩越柚歩選手が言っていた。自分の考えをチームメイトに伝え、相談しながらどうするか決めているというサイクルがうまくいっているのではないかと思うが、実際にはどうか?)
「私自身、選手間で話す数は本当に増えたなと感じていて、シーズンの途中でどうしてなのかと考えたことがありました。

首位にいる以上ほかのチームが私たちを倒そうと思っていろいろな対策を練ってくる中で、私たちは相手が考えてきた対策に対関して自分たちでどうにか状況を打開しないといけない立場にあったので、そうなったときに試合の中でもそうですし、普段の練習で選手同士がでたくさん話さないと解決できないことがたくさんありました。自然と選手同士の会話が増えて、さらに良くしていこうということがチーム内で出てきたと思うので、そういうところが選手同士の会話が増えたことにつながったのかなと思います」

(レッズレディースが2014年に優勝してから日テレ・東京ヴェルディベレーザが優勝し続けていた。去年のなでしこリーグや皇后杯でも日テレとの距離感を測りながら戦っていたと思うが、今年の対戦ではどうだったか?)
ベレーザとの試合はリーグでも皇后杯でも毎試合特別な感じがあって、本当に私たちが優勝して以降はベレーザが優勝していたように、絶対的女王という印象が私たちの中にもありましたが、いつかは倒さなければいけない相手だと思っていました。時間はかかりましたが、私たちの中でもいろいろな試行錯誤があって、自然と『打倒ベレーザ』というふうになっていたと思います。

そういう面では去年から結果でしっかりとベレーザに勝利できるというところを出せてきたのでチームとしての成長も感じます。し、ずっとベレーザが優勝というのもつまらないと思いますしが、ベレーザとの試合は特別ですし、私たちが成長してこられたのもベレーザというチームがあったからだと思います」

(来年からWEリーグになるということで「なでしこリーグの最後に優勝しよう」という話はしていたのか?)
「来年からWEリーグが始まるから優勝しようということは特になかったです。毎年リーグが始まる前には優勝を掲げている中で今年もそういう流れで『絶対に優勝するんだ』ということをチーム全員で考えていた中で、目の前にタイトルがある状況をチーム全員で作り出せていると思います。

ですが、来年からWEリーグが始まるという状況で優勝できることには絶対に意味があると思います。このタイミングでこのチャンスがあるということは私たちにとって意味があるものだと思うので、WEリーグにつなげられるようなサッカーをして、たくさん方に見ていただけるようなプレーをしたいと思っています」

(2014年はレッズレディースユースにいたと思うが、優勝したときはどんなふうに見えていたのか?)
「私自身、2種登録をしていただいていた年でしたが、普段レディースの練習に参加させてもらったりすることはありましたが、優勝したときは自分が優勝したというよりは、トップの選手に優勝させてもらったというのが正直なところでした。優勝したときには一緒にいさせてもらいましたが、自分のことというよりは他人事のような感じで、自分が優勝したという実感は正直ありませんでした」

(2種登録からの7年間で個人として一番伸びたと感じていることはどんなことか?)
「個人的にはレディースの選手になった1年目、2年目が一番成長できた年かなと思っています。レディースになってから1年目、2年目は試合にはほぼ関わらせてもらっていませんでしたが、普段の紅白戦で(菅澤)優衣香さんや(安藤)梢さんを相手にプレーできていたことで、その2年間で本当に成長できたということを個人的に感じています。なでしこジャパンに選ばれている選手や、世界で活躍してきた選手を相手にディフェンスをしていたので、1年目、2年目は自分を成長させてくれた2年間だったなと思います」

(1年目、2年目のときは歯が立たない感じだったのか、つかんでいる部分があったのか?)
「1年目は特にやられ放題というか、レベルが違うと感じて自分のふがいなさというか全然通用しないということを感じさせられました。でも毎日練習していくと手応えというか戦えているなと思えることもあって、最初はだめでしたが、1年間練習させてもらって、2年目にはやっと紅白戦の中で控えとして先発の選手を上回れることもありましたに勝てたり、紅白戦の中でしたが結果が出るようになりました。そういうところで成長していると思えるようになりましたし、そこがモチベーションになって戦えていたと思います」

(次の愛媛FCレディース戦は勝てば優勝だが、どんな試合で優勝を決めたいか?)
「リーグも終盤になっていて、最初のころに負けが少なかったことが今の状況を作り出してくれていると思いますし、今回の愛媛戦はバックスタンドも開放してくださって、たくさんの方が見に来ていただけるような状況を作ってくださりました。

なによりいつもどおりのサッカーをすることが一番勝利に近づくのかなと思うので、気負いせず、プレッシャーを感じさせずにチーム全員で楽しんで目の前の相手に戦っていくことと、自分たちが楽しいサッカーをすれば見ているみなさんもおもしろいと思うので、楽しむということを忘れずにチーム全員で戦っていけたらいいなと思います」

(優勝したらこんなものが欲しいという偉い人へのおねだり、要望はあるか?)
「パッと言われるとありませんが、後々考えておこうと思います(笑)」

(森監督が就任して特徴的なサッカーをやるようになり、前線の選手は「ボールを触る回数が増えて楽しい」という話をしていたりもするが、センターバック目線で今のサッカーの肝をどのように捉えているか?)
「チームとしてやりたいサッカーはすごく明確で、ポジションごとに役割がはっきりしている部分があるので、そういう面ではどのポジションの選手も迷いなく思い切りプレーできているのかなというところが一番印象的です。

森監督が各選手の特長をうまく生かしてくれるようなフォーメーションやポジションを考えてくださって、それがうまくはまっているなという感じがあります。守備としてはリスクがあるようなサッカーですが、今までにないようなサッカーができていますし、個人的には楽しいですし、やりがいを感じています」

(森監督の普段のキャラクターをどう見ているのか?)
「森監督は一言で言うと、良い意味でそのへんにいるおじいちゃんのような方です(笑)。最初にチームに来たときも話しやすくて、すごく穏やかです。試合のときも声を荒げることは少ないですし、常に冷静なので、私たちも本当にリラックスしてプレーできていると感じています。簡単に言うとおじいちゃんみたいな感じです。キャラクター的にはチームのおじいちゃんという感じです(笑)」

(今シーズンは新型コロナウイルスの影響で開幕がなかなか決まらず、何度も延期されたりしたが、大変だったと思ったことはあるか?)
「やっぱりリーグ開幕前の自粛期間が一番、今までにないような経験でした。自分の競技人生で初めてあんなに家に閉じこもった閉じ込められたというのが正直なところで、自粛期間はモチベーションの維持だったり、体をどうやってなまらせないように動かすかということは本当に難しいことだったなと思います。ただ、いろいろなことを考える時間にもなりましたし、そういうところをうまく利用してリーグにつなげられたのかなと思います。難しさはありましたが、考える時間などもあって、今振り返る考えるといい時間でもあったのかなと思います」

(どんなことを一番考えたのか?)
「改めて自分に今なにが足りないのかということだったり、食事も少し考えてみようかなということもありました。基礎的なところは自分でできることが多かったので、普段見落としているような体幹なところを改めて見直す機会が多かったかなと思います」

(なでしこジャパンの高倉麻子監督などが「今季はリーグ全体のレベルが高い」と言っていたが、中で戦っている選手としてはどう感じるか?)
「今年が特別リーグのレベルが高いのかどうかは分かりませんが、個人的にはリーグだとで首位に常にいたことで毎試合、戦う相手が目の色を変えて戦ってきた印象があるので、どのチームと戦っても難しい試合だったなというのが正直なところです。どこのチームもレベルが高い中でプレーしていますが、レッズレディースとしては向かってくる相手に勝利できていますし、他のチームもそうですがレッズレディースとしても一段階強いより良いサッカーをお見せできているのかなと思います。昨シーズンまでに比べるとよりレベルの高いサッカーを披露できていると思います」

(序盤で勝ち星を重ね、中盤以降も去年までなら落としていたようなカードで勝ち点を拾えてきた要因はなんだと思うか?)
「昨シーズンとやるサッカーが変わらなかったということは一つ大きいのかなと個人的には思っています。新加入選手の力も借りて、より一層そのサッカーに磨きをかけられたということが序盤から勝利を積み重ねられた要因だと思います。昨シーズンと同じようなサッカーの中でみんなが戦術を理解した上でのスタートでしたし、しっかりと森監督のサッカーが落とし込まれて込めている状況でそこにまた上乗せしていけるようなシーズンの開始だったので、戦術面でも他のチームより少し有利だったのではないかと思います」

(まだ気が抜けないと思うが、安定して戦い続けられたことに関してはどうか?)
「序盤も中盤も優勝を意識しすぎないでチーム全員でプレーできたことは、本当に安定して毎試合プレーができた1つの理由かなと思います。昨シーズンはみんなが優勝を変に意識しすぎていたところがあって、緊張でチームの雰囲気が張り詰めていたような感じがありました。今シーズンは逆に優勝を意識しすぎず、全員がリラックスしてプレーできていることがチームとして安定して戦えている要因かなと思います」