ヤングなでしこ銅メダル獲得、さらに高まる7人の
20歳以下の選手によるU-20女子ワールドカップが、8月19日から9月8日まで宮城、埼玉(浦和駒場スタジアム)、東京、神戸、広島の5会場で行なわれ、このほど閉幕した。“ヤングなでしこ”ことU-20女子日本代表はグループリーグを首位で突破し、準々決勝で韓国を破って史上初のベスト4入りを果たす大活躍。準決勝のドイツ戦には敗れたが、ナイジェリアとの3位決定戦に勝ち、有終の美を飾った。浦和レッズレディースから参加していたのは、藤田のぞみ、柴田華絵、池田咲紀子、猶本光、加藤千佳、坂本理保、和田奈央子の7人。21人中3分の1を占める「レッズレディース勢」は、GK池田とMF猶本が全6試合で先発フル出場を果たしたほか、MF藤田、MF柴田も主力として大活躍。「レッズレディースの代表」として、日の丸を背負いながら戦い抜いた。大事な大会初戦のメキシコ戦にレッズレディースから、藤田、柴田、池田、猶本の4人が先発メンバーで出場し、柴田が先制点、追加点を猶本が決め勝利に貢献した。7人の中で最も大きな役割を担ったのは藤田だった。2年前にドイツで行なわれた前回の大会にも出場していた藤田は今回、チーム最年長としてキャプテンを任された。今シーズン、加入3年目を迎えているレッズレディースでは、シーズン序盤のケガで出遅れていたが、この大会ではボランチの一角として、また、精神的支柱としてピッチの内外で獅子奮迅の大活躍を見せた。ピッチでは身長152cmの小さな体ながら的確なポジショニングでピンチの芽を次々と摘み取り、ボールを散らしながら攻撃を組み立てた。3位決定戦のナイジェリア戦では試合中に両足が攣ってしまうほどすべてを出し尽くし、試合終了後には感無量の涙を流した。開催国としてのプレッシャーを受けながら3位になったという結果についてはある程度の満足感を漂わせるが、それぞれの試合でのパフォーマンスについては、「全然、まだまだだと思いました」と言う。ただし、それは「ここが目標ではないから。もっと上を目指しているから」だ。そして、ピッチ外ではチーム最年長のキャプテンとして16歳から20歳までの選手たちを見事にまとめあげた。3位決定戦前の選手ミーティング。藤田は「ここまで試合に出た人も出ていない人も、最後はみんなで同じ方向を向いて、みんなで勝とう」と仲間を鼓舞した。猶本は「ノンさん(藤田)がいたから、チームがまとまった」と言う。その猶本は、主に藤田とコンビを組んでボランチとしてプレーした。6試合すべてに先発フル出場だ。「試合を通じて成長できたと思うことは、相手の出方によって考えながら戦術を変えることができるようになったこと。課題は判断のスピード。そこをもっと上げていかないといけない」そして、今大会でブレークした選手の1人が柴田だ。記者投票による大会優秀選手賞の第2位に相当するシルバーボール賞を受賞。4試合に先発し、2試合途中出場で計3得点1アシスト。初戦の先制点、韓国戦での2得点、3位決定戦での決勝ゴールと大躍進を遂げる。「自分の良さをこの大会で出せた。ただ、優勝を目指してたけど、ドイツには力の差を感じた。これからはレッズで、足りないところを練習して伸ばしていきたい」大会前、GK山郷のぞみから「自信を持って、いつもの自分らしくやればいい」と声を掛けてもらっていたというGK池田は、3位決定戦の日、20歳の誕生日を迎えた。試合前にはサポーターから歌を歌ってもらい、「すごくうれしかった」と言う。大会で得ることのできた収穫については「セットプレーの部分でみんなに積極的に働きかけることができるようになった。大会中にも1試合ごとに反省して、修正できていたことが良かった。クロスへの対応でも、出て行く範囲が広くなった。自信が持ててきている」と手応えをつかんだようだ。グループリーグ第3戦のスイス戦に途中出場した坂本は「優勝できなかったことは悔しいけど、メダルを取れて良かった。大勢のサポ―ターの方々が会場に足を運んで一緒に戦ってくれたことにとても感謝しています」と話した。試合に出るチャンスはなかったが、加藤、和田も、今後の戦いの場である“なでしこリーグ”でレギュラーポジション獲得を目指してさらにトレーニングにはげみたいという意識が高まっている。9月16日(日)には『プレナスなでしこリーグ2012』が再開する。レッズレディースは16日15時に浦和駒場スタジアムでキックオフされるASエルフェン狭山戦の埼玉ダービーだ。ヤングなでしこから舞台をリーグに移し、選手たちも「試合に出たい」という意欲にあふれている。【矢内由美子/REDSTOMORROW編集】