Player's Column 島田芽依/積み重ねた献身が生んだ待望のゴール

待望のゴールだった。
2025/26 SOMPO WEリーグ第4節 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース戦。
83分、相手のミスから榊原琴乃がボールを回収すると、島田芽依は榊原から遠のくような弧の動きでエリア内に進入、パスを呼び込むスペースをつくった。
その瞬間を見逃さず、榊原が島田の足元にピタリとボールをつける。
島田はシュートが打てる場所に丁寧にボールを置くと、相手DFとGKのプレッシャーを受けながらも、冷静に僅かな隙間を通して、ゴールネットを揺らした。
「みんながああやって喜びに来てくれることが一番うれしくて」

島田は今季初ゴールをこう振り返る。
「試合終盤で琴(榊原琴乃)がボールを奪ったときに琴がフリーだったので、膨らんでから、ファーストタッチでいいところに置けました。あとはもう流し込むだけという形で。あそこまで使ってくれた監督もそうですし、周りのみんながすごくボール集めてくれたことに本当に感謝しています」
FWにとってシーズンのファーストゴールは重要なものだろう。ここまでの時間、もどかしさもあったのではないか、と問うと、彼女らしく自分よりもチームメイトの行動に関して言及した。
「みんながああやって喜びに来てくれることが一番うれしくて、もっともっとゴールを取ろうという気持ちになりました」
そして続けた。
「得点だけじゃなくて、チームのためにプレーするというところはこれからも変えちゃいけないところだと思っています。その中でしっかりゴール前に入っていく動きだったり最後に決め切るところというのは、もっともっと質を上げていかなきゃいけないと思いました」
「まずは守備から」
今季初ゴールまでに島田がピッチ内で要した時間は336分。だが、その間も彼女はチームにとってやるべきタスクをきっちりとこなし、勝利に貢献していた。
千葉L戦での先制のシーンもそうだろう。
あの得点は島田のプレスバックの守備から始まっている。加えてボールをカット後、素早く進路を変え、タイミングを見てゴール前へ。彼女が深く進入したことにより、相手のDFラインが下がり、得点につながる前の伊藤美紀のシュートを生み出すスペースを作り出した。
「そこはやっぱり監督から求められていることだったり、チームで求められているところだと思うので。チームが勝てれば何よりもうれしいですし、そのためにプレーしています。そこは欠かさずやらなきゃいけないところだと思うので、これからも継続してやっていかなければいけないと思っています」
島田は昇格して5シーズン目。年齢はまだまだ若手の部類だが、すでにさまざまな経験をしてきている。だからこそ、FWとして得点を追求しつつ、チームとして勝利をするためにやるべき優先順位を見誤ることがない。そして、その積み重ねが、自身に得点を呼び込むことも理解しているのだ。
だからこそ、守備への意識も高い。
「まずは守備からというところ。前線から守備をしていけば最近はショートカウンターの形も出せるようになってきたり、よりゴールに近い位置で攻撃をスタートできています。後ろの声を聞きながら、しっかり守備していくというところは特に意識してます」
「もっとバリエーションは増やしていかなきゃいけない」

では、現在のチームの攻撃面については、どのように感じているのだろうか。
「チームとしてサイドからのシュート練習とかをしていて、千葉L戦はそれがすごく出た試合でした。みんながやろうとしていることができて、すごく収穫でした」
「サイドの2人がすごく突破力もありますし、そこはみんなが信頼してドリブルで突破してくれるだろうと思って、他の選手が中に入れていることはすごくいいことだと思います。ただ、それに加えて、よりゴールに近い攻撃も増やせるといいと感じています」
サイドに行くと見せかけて、ワントップと2シャドーのコンビネーションで崩す。そうしたシーンが生まれれば攻撃が多彩になり、相手守備は対応しきれなくなる。
「そのための動きとか、もっと目を合わせていくところだったり、もっと連係を高めていきたいです。スカウティングとかされたときを考えて、もっとバリエーションは増やしていかなきゃいけないと思っています」
そして個人的な今季の目標については、明確な数字を口にした。
「二桁取りたいと思っていますし、そこを目指して今シーズンも取り組んでいます。でも今のままだと全然たどり着けないと思うので、もっともっと質を上げていきたいです」
マイ仙台戦へ向けて――「しっかり前も得点を重ねて」

最後に次戦のマイナビ仙台レディース戦に向けての意気込みを聞いた。
「ここまで4試合をやって、攻撃も、チーム全体としても、いい形が出せるようになってきました。次も、それをより出していけるんじゃないかと思っていますし、この1週間でしっかりいい準備をしたいです」
「特にゴール前でシュートへの意識を持って行きたいです。後ろの選手がすごく守ってくれているので、その分しっかり前も得点を重ねて、チームとして勝てるようにしていきたいと思っています」
やさしいが芯があり、仲間への熱い思いを持つ背番号15のFW。そんな彼女だからこそ、今季初得点を記録したとき、ピッチ上の選手たちだけではなく、ベンチにいた選手やコーチングスタッフまでが、そのゴールを心待ちにし、喜びを露わにしていたのだと思う。
島田芽依が得点を重ね、覚醒する。それは、レッズレディースに関わる多くの人が待ち望んでいる姿なのだと思う。
(文・写真/URL:OMA)

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