Player's Column 高橋はな/敗戦を経たからこそピッチで表現できるもの

痛い敗戦だった。

2025/26 SOMPO WEリーグ第5節 マイナビ仙台レディース戦。

試合を通して相手のシュートはわずか2本。しかし、その中で2失点し、敗れた。

球際の戦いをチームがやっていなかったわけではない。

が、競り合いなどの局面で相手に上回られ、序盤に流れをつかめなかったことが、結果的に敗戦を招いてしまった。

試合直後、高橋はなは次のようなコメントを残している。

「前半は相手の勢いにやられてしまったところがありました。人どうこう、システムどうこうというより、まずは球際のところで負けてしまったことが、前半の0-2という状況を作ってしまったと思います。それがこの試合にとって大きなポイントだったかなと思います」

「試合を通して自分たちのサッカーをやりながら、良かったところもありましたし、突かれてしまったところもありました。シーズンを通して難しいときは必ず来ると思うので、そういった意味で、そこをひとつ踏ん張れるようなチームになっていかなければいけないと、あらためて思いました。だからこそ今日の結果をしっかり受け止めて、必ず次につなげないといけないと思います」

高橋は、とてもプロフェッショナルな姿勢を持つ選手だ。

敗戦後も、しっかりと話ができ、ロッカールームを出た直後でも、次に向けて切り替える冷静さを持っている。この日もいつもどおり試合を振り返り、すでに次の試合に言及していた。

だが、決して悔しさをどこかに置いてしまっていたわけではなかった。むしろその責任をしっかりと背負っていたのだ。

 

 




チームへの想い

マイ仙台戦の翌日。

高橋は、17時に行われたトレーニングマッチの現場にいた。

多くの時間、マイ仙台戦に出場した選手たちは、この日、午前のリカバリートレーニングを行っていた。もちろん高橋もそこに参加していた。

だから、夕方のトレーニングマッチの場にはいなくてよいスケジュールだった。

それなのに、チームメイトとコミュニケーションを取る高橋の姿がそこにはあったのだ。

高橋は言う。

「チームって全員で一つのチームなので。試合に出るのは、そのときに出る11人ですけど、それに加えてリザーブやバックアップメンバーも含めて全員の頑張りがあるからこそチームが成り立っていると思うんです。だからシンプルに自分がサッカーを見ていろんな選手から学びたいというのもありましたし、チームにとって自分が何ができるか、どんな行動ができるかを考えたときに、みんなと一緒にいることかなと思ったので」

そして続けた。

「それと、試合に出られなくて悔しい思いをしている選手たちがいるというのを自分自身忘れてはいけないと思いました。だからみんなの姿を見に行きました。前日に負けて本当にくやしかったし、申し訳ない気持ちもあったので、みんなに会いにいったという感じです」

敗戦、試合に出場するということの意味、そしてキャプテンとしての責任。さまざまなものを受け止めた上で、なにより仲間であるチームメイトのことを思い、高橋は行動していた。

 

 

この経験をどう活かすか

そんな高橋は、マイ仙台の敗戦についてあらためてこう話す。

「どの試合も勝つために準備をしていて、その中で負けるというのはすごく悔しいです。でも、それをきっかけにやっぱり得られるものというのもすごくたくさんあります。この長いシーズンを考えたときに、あの試合を無駄にしたらいけません。もうあの結果は変わらないので、その次に向かってこの経験をどう生かすかということを考えています」

そして今一度、自分たち自身の立ち位置について話す。

「あくまで忘れてはいけないのは、私たちはチャレンジャーということです。これが今の自分たちの現在地であると受け止めて、もう一度気が引き締まるところもありました。もちろん、負けてからでは遅いんですけど、もっとやらなければないけないということをわからせてもらえました。このタイミングというのは大事だったと思います」


埼玉ダービーへ

次戦はちふれASエルフェン埼玉との埼玉ダービーだ。

同じ埼玉県に本拠地があるチーム同士の戦い。前節の敗戦もあり、より大切な一戦だろう。

高橋は言う。

「まずは、連敗は許されないというところ。それはもうこのチームでプレーする限り、してはいけないことですし、そのために準備をすることが大切だと思います。それと次はホームで、同じ埼玉県のチームの埼玉ダービーというところで、ちふれさんで言えば、昨シーズンは難しい戦いが続いてなかなか勝ちきれなかったチームです」

「だからこそ、そのチーム相手に前節の敗戦から自分たちは何をどう変えられたのかということをピッチで表現したいですし、そこはプライドを懸けた戦いになると思うので、ダービーを必ずホーム浦和駒場で勝利したいです」

敗戦を経たからこそ、ピッチで表現できるものがある。

同じ地域に本拠を持つダービーは、世界でも熱い試合が繰り広げられる。

そんな試合で、高橋をはじめ、チームがどんな姿勢を見せてくれるのか。ぜひ、浦和駒場スタジアムに来場し、その姿を見てほしい。

(文・写真/URL:OMA)

 

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