Player's Column タンチュリエ ローリー/つながるプレーの楽しさ、タイトル獲得を目指しベストを尽くす

「本当に、このチームに来られてよかったです」
トレーニング後、タンチュリエ ローリーに話を聞くと、そう返ってきた。表情には充実感と日々楽しさを感じられている様子が見て取れた。
日本に来て約3ヶ月。初めは言葉も文化も違う環境に少しの戸惑いがあったと言う。
だが、今は違う。
「日本の生活に慣れるのに少し時間がかかりましたが、今はもう大丈夫。チームメイトのみんなが本当に優しくて、支えてくれています」
「練習を積み重ねたおかげで、以前に比べてチームメイトの特長やプレーがわかってきました」
その状況を示すように、リーグ前半戦の最後の試合となった10月18日のセレッソ大阪ヤンマーレディース戦では、彼女らしいプレーで結果を残した。 ※最下部に動画あり

前半6分、相手GKのパスをカットし、一旦は奪われるも、すぐに切り替えて加藤千佳と連係。ボールを奪い返すと、25m超を一気に駆け上がる。
ストライドを活かした走りとドリブルは、DFを寄せ付けず、相手陣内深い位置まで進入して、鋭く折り返した。
そのボールをニアサイドに勢いよく走り込んだ島田芽依がワンタッチでゴールに収め、貴重な先制点を挙げた。
ローリーにとってのWEリーグ初アシストだった。
「本当にうれしかったです。チームの勝利に貢献できて」
彼女はそう言いながら、少し照れたように笑う。
「でも、もっともっとできると思っています。自分としてもゴールを決めたいです」
実際、この試合では、これまで以上にカットインからのシュートやゴールに迫るシーンを見せた。

◆個ではなく、集団として◆
ローリーは、チームのサッカーについて次のように話す。
「フランスでは、もっと個が強いというか、個人のプレーが強調される印象なんですね。でもここは違う。本当にみんながつながってプレーしています」
つながってプレーするーー。
彼女はこれまでのキャリアの中で、そうしたサッカーをなかなか経験してこなかったそうだ。
「全員がハードワークして、ここまで全員でつながってプレーするというのは初めての経験です。だから自分もプレーしていて楽しいですし、このチームに加入することができて本当によかったと思っています」
彼女の言葉には、新鮮な驚きと喜びが滲んでいた。そして次のように話す。
「まだまだ連係のレベルは上がっていくと思います。だから、もっともっとやらなければいけませんし、本当に良いチームだと思います」
◆最も大切にしていること◆

そんな彼女に、プレーする上で一番大切にしていることは何かを聞いた。
すると、すぐにこう返ってきた。
「自分にとって一番大事なのは、ベストを尽くすことです」
そして、続けた言葉に彼女の誠実さが現れていた。
「チームメイト、コーチングスタッフ、そしてクラブが自分に対してベストを尽くしてくれています。それはファン・サポーターのみなさんもそうです。だから、自分がベストを尽くすということは最低限やらなければいけないことだと思っています」
◆タイトルへの思い◆

最後に今週末から開幕するクラシエカップについて聞いた。リーグとは違った大会となるが、ローリーはどう臨むのか。
「自分としては、何かを特別に変えるということはありません。やっぱり目の前の試合に全力を尽くしてチームプレーをするというのが、自分が大切にしていることなので」
「試合である限り、勝つためにベストを尽くさないといけません。それはリーグでも、クラシエカップでも変わりません」
とはいえ、もう一つのタイトルを獲るための大会という意味では、「楽しみにしている」と言う。
「タイトルを獲るということは、本当にチームにとっても、クラブにとっても、自分にとってもとても意味のあることです。ですからそこへのモチベーションというのは、非常に大きいものがあります」
彼女はまだトップリーグでのタイトル獲得経験がないそうだ。
フランスではそうしたタイトル争いに加わることが難しいチームでプレーし、ベルギーではチャンスはあったものの、最後の最後で逃してしまったと言う。
「もし、ここでタイトルを獲れたら、自分にとって初めての経験になります」
「だから本当に獲りたいですね、このクラブでタイトルを」
彼女はさわやかな笑顔で、そして期待を込めるようにそう話し、取材の場を後にした。
(文・写真/URL:OMA)

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