Player's Column 櫻井まどか/「全部勝つことは変わらない」成長の日々と皇后杯への決意
2025-11-15
「負けたら終わり」皇后杯という舞台への決意

三菱重工浦和レッズレディースの今季の皇后杯。リーグ戦とは異なる一発勝負の大会が、いよいよ始まる。
「(目標は)優勝です。負けたら終わりという、リーグとはまた違った大会になるので、100%大事に戦いたいです」
今季、右サイドバックを主戦場にプレーする櫻井まどかの声には力がこもる。その上で次のように続けた。
「いつも練習でやっていることをしっかり出すということに気をつけたいです」
「それと皇后杯は、リーグでは戦えないいろいろなチームと対戦できるので、そこでも吸収できるものは吸収して、自分が今までやってきたところ、よい部分を十分に出して勝利に貢献したいなと思っています」
WEリーグ所属クラブ以外との対戦でも学びを得ようとする貪欲さ。櫻井まどからしい発言だった。
力を尽くしても勝てなかった悔しさを糧に

11月8日のINAC神戸レオネッサ戦は、2025/26 SOMPO WEリーグのタイトル争いの行方を方向付ける一戦だった。その試合で敗れた悔しさは、今も櫻井の胸に残っている。
「やっぱり、勝たなければいけないと考えていた、どうしても勝ちたかった試合で負けてしまったことはとても悔しいです」
そう振り返る。ただ、一方でその時点での全力を出したという意識もあった。
「自分たちのやってきたことを全力でやろうとしたという面では、全員がやったと思います」
力を尽くしてなお敗れたという現実もあるが、一方で手応えも感じた。
「練習でやってきたところ、何回かいい場面もチャンスも作れたのがあったので、そういったところは、負けてしまった試合でも成果が見られました。それは前向きに捉えて、次に向けて気持ちを切り替えて、あとは勝つためだけにやるしかないなと思ってます」
個人としてもさらなる成長への意欲を得ている。
「その中でも、相手が力のあるチームで個人技で打開しようとするところの守備だったり、前線に関わるところ、自分の良さは、何回か出せたシーンがあったので、そういったところは続けていきたいですし、そうした強みを伸ばして、チームの勝利に貢献できるような選手になっていければと思いました」
「やることは変わらない」全試合勝利への覚悟
I神戸との勝ち点差は5ポイントに広がった。しかし、気持ちは揺るがない。
「本当に、もう全部勝つことというのは変わらないですし、やることは変わらないと思っています」
仮にI神戸戦に勝っていたとしても、残りの試合、I神戸が全勝するとしたら、自分たちもすべて勝たなければ優勝できない状況だった。だからこそ、今の時点でも自分たちがやるべきことは変わらない。すべての試合に勝利するのみだ。
課題も自覚している。
「相手の勢いを持ったプレッシングの中で、うまく剥がせなかったというところは、自分の個人としての技術だったり、押し込まれているときに長いボールで相手を裏返す、そのキックの精度をまだまだ磨かないといけないと感じました」
日々学び続ける、今季の4か月

シーズン開幕から約4ヶ月。櫻井はレギュラーポジションを確保し、戦い続けている。
この期間をどう感じているのだろうか。
「本当に日々学ぶことというのが1番で」
櫻井はそう話す。
「試合に出られなかったときもいろんなことを経験して学ぶ時間もありましたけど、試合に出ることで得るものも多いですし、チームの試合に出て勝つという責任があるので、そういったところでは、メンタル的にも成長している部分があるのではないかと感じています」
櫻井は練習後、決まって、エキストラメニューをしている。それは、一見つらそうなシャトルランから、1対1の駆け引きを楽しそうに行う対人プレーなどさまざま。成長しようという意欲が、日々、見ている者にも伝わるほどあふれている。
彼女はフットボーラーとして、今、どんな時期を過ごしているのだろうか。
「今は、成長し続けることが大事だなと思って。アフタートレーニングのところもそうですけど、自分の課題にしっかり向き合って、自分の足りないところ、そこに向き合いつつも自分の長所も伸ばしながら成長し続けるというところが大事かなと思っています」
そして、試合に出続けることで気づいたことがある。
「正直こんなに試合出られることがなかったので、体のケアのところだったり、怪我をしないっていう部分でも、選手として大事だと思ってるので、オンのところもそうですし、オフのところでも体をケアしたりとか、そういったところも気を使いながらやるのが今は1番大事かなと思っています」
「ここもあるよね」指導陣からの学び
コーチングスタッフ、特に監督の堀孝史からは多くの選択肢を示されているという。
「いろいろな知らないことばかりで、新しいものを教えてもらって『ええ!って』感じで日々新鮮に感じています」
櫻井は笑いながら答えた。
ポジション取り、個人の駆け引き。さまざまな局面で新しい視点を提示してくれる。
「ここもあるよねという提示をしてくれて。確かに映像で振り返ると、あ、ここもあるなというのが多くて」
最初は気づけなかった選択肢も、継続的な指導によって自ら気づけるようになってきた。
「そうした選択肢を示してもらえたおかげで、最近は自分で映像を見ても、あ、ここもあったなというのが分かるようになってきました。知識が増えてきた感じです」
ピッチ上のパフォーマンスだけではない、見えない手応えを櫻井は感じつつある。
「絶対負けたくない」皇后杯初戦への思い

皇后杯の初戦は、スフィーダ世田谷FCとの対戦だ。
櫻井にとっては、かつて同じリーグで戦ったチームになる。
「去年対戦した感じでは、スピードや強さがあるような印象でした。今年はスカウティング映像などを精査しないと分からない部分もありますが、元々同じチームでプレーしていた選手もいます」
「だから私個人的には、絶対負けたくないですし、自分がどれだけ成長できているのかがわかる指標になると思っています。そういう意味でも、いい結果、内容もいい形で勝利したいです」
櫻井は、そうインタビューを締めくくった。
皇后杯の決勝は2026年1月1日開催。そこにたどり着くまでには4試合に勝利しなければならない。だが、まずは目の前の1試合に集中する。
そんな一戦必勝で臨むチームの中で、日々学び、成長しようと貪欲に取り組みを続ける背番号28のMFは、どんなプレーを見せてくれるのか。
ぜひ、注目して見てほしい。

(文・写真/URL:OMA)
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