不定期連載『Face』 vol.8 「島田芽依 チームを想い、ゴールを追い求めるフォワードの軌跡」
2025-12-19

2025/26シーズンの選手たちの素顔や試合に臨む姿を伝える不定期連載『Face』。
第8回は、島田芽依選手のコラムです。島田選手のここまでの想いとこれからについて語ってもらっています。ぜひ、ご一読ください。

背番号15のフォワードが、下を向きながら力強くガッツポーズし、喜びをかみしめた。
スタジアムは喜びに包まれ、温かな空気が流れた。
島田芽依が、三菱重工浦和レッズレディースの中でどんな存在か。
そんなことが伝わってくるシーンだった。
8月30日、SOMPO WEリーグ第4節、島田が今季初ゴールを記録した直後のことだった。
開幕から4試合目。ようやく訪れたゴールに、ピッチ上の選手はもちろん、ベンチにいたチームメイト、コーチングスタッフが、自分のことのように喜びを表した。そして、勘違いではなかったと思う。
スタジアムも通常のそれよりも大きな、温かな喜びに包まれたように感じた。
仲間を想うパーソナリティ、フォワードとしてゴールを奪うことだけにとらわれず、献身的にチームに貢献していた島田芽依というフットボーラーを、多くの人が理解している、そんな瞬間だったと思う。
昇格5シーズン目を迎えた島田が選手としてどのように育まれ、今季をどんな想いで戦っているのか。語ってもらった。
◆サッカーとの出会い◆
サッカーを始めたきっかけですか?
2歳年上の兄がいて、サッカーをやっていたんです。兄の試合に行ったりとか、一緒にサッカーをしたりしていました。それが始まりですね。
やっぱり楽しかったんだと思います。サッカーが好きじゃないとここまで続けてこられないなとも思いますし。
もちろん楽しいことだけじゃないですけど、それを乗り越えた後とか、勝ったり、優勝できたりとか、みんなで喜んでいるときがやっぱり楽しいです。
一度そういう経験をすると、またそういう経験をしたいって思えるんですよね。
だから、嬉しい瞬間を求めてやっているのかなと思っています。
◆レッズへの愛着と成長◆

小学生のときから、レッズの男子チームの試合を観に行く機会があって、すごくかっこいいなと思っていました。もともとは別のチームを応援していたんですけど、レッズのジュニアユースに声をかけていただいてからは、もうレッズが大好きになりました。
ジュニアユースからユース、そしてトップチームへと昇格することができましたが、昇格した当初は、なかなか自分から周りの選手とコミュニケーションを取ることができていなかったんです。
でも、先輩方が積極的に声をかけてくれたり、一緒にご飯に連れて行ってくださったり。
サッカーがうまい選手は、周りに気を配れたり、サッカー以外の面でもすごくコミュニケーションを取ってくださるので、馴染みやすい雰囲気を作ってくれて、だんだん慣れていきました。
次第に、うまく溶け込むことはできたんじゃないかなと思います。
◆ポジションの変遷とFWとしての苦労◆

小学生の時はフォワードじゃなかったんです。ミッドフィルダーをやっていました。
中学でレッズに入って、中学1年生のときに、当時の監督から「フォワードでやってみろ」と言われて。その試合で点を取ったことがきっかけで、フォワードになりました。
点を取ることはすごく好きだったので、今のポジションの方が合っていると思っています。
ただ、トップチームに上がって、特にワントップというポジションで起用されるようになってからは、すごく大変でした。ボールをキープしてチームの時間を作ったり、球際の激しさだったり、最初は難しいと感じることばかりでした。
◆今季の飛躍と得点への執念◆

今シーズン、過去のシーズンよりも、得点率が上がっている?
そうですね。試合数で言うと、2試合に1点ぐらい取っている感じだとは思います。
実際、私自身は、シーズンを通して、前半戦からコンスタントに得点することが、これまではあまりありませんでした。
今シーズンも、開幕してから最初の3試合はゴールがなくて。チームの勝利が一番だと思ってはいましたが、フォワードとしてはゴールが欲しいという気持ちで、少し焦りはありました。
でも、いつかチャンスは来ると思ってプレーしていたので、4試合目で今季初ゴールを決められた時は、自分の中で本当に大きかったです。
一点取れれば、どんどん積み重ねていけるようにはなってきているのかなと思っています。
出場試合数と得点数 ※得点率は公式戦のデータ
2025/26シーズン
リーグ13試合7ゴール、公式戦17試合9ゴール得点率0.53
2024/25シーズン
リーグ18試合5ゴール、公式戦26試合8ゴール得点率0.31
2023/24シーズン
リーグ22試合9ゴール、公式戦34試合13ゴール得点率0.38
2022/23シーズン
リーグ20試合8得点、公式戦24試合9得点得点率0.38
2021/22シーズン
リーグ18試合ゼロ、23試合ゼロ(URL:OMA調べ)
◆ワントップとしての成長◆

得点できているのは、やっぱり試合で長い時間、起用してもらっているところが大きいと思います。
ワントップをやっていて、あまりサイドに流れすぎずに、ゴール前でしっかり仕事ができるようにというところは、監督からも言われていますし、その役割の整理というのが一番大きいようにも感じています。
もう一つ、ペナルティーエリアの中で点を取れていることが今シーズン多いと思うので、そこも一つ、今点を取れている要因なのかなと思っています。
これまでは「これ」っていう、ゴールの取り方がなかったんです。
でも、今シーズンはニアで点を取るとか、そういう自分の形を作れていることも大きいのかなと考えています。
◆献身的なプレースタイル◆
自分自身、守備も意識しています。自分がボールを失ったら、もう本当に自分で取り返すしかありません。奪われた後の守備を褒めていただくこともありますが、自分が失ったときは、もう内心は焦りながら戻っているって感じです(苦笑)。自分で取り返さなかったらもうダメだなと思いながら必死でやっています。
ボールを奪い返すとか、誰が失ったとしても取り返すというところは、ジュニアユース、ユースの育成時代から指導者のみなさんに言われてきたことなので、なくしてはいけないものとして意識しています。
やっぱりチームのためにプレーするというところは、自分の中ではすごく大事にしています。
◆印象に残るゴール◆

今シーズンの最も印象に残っているゴール?
そうですね、アウェイのINAC神戸レオネッサ戦のループシュートです。
※最下部に動画あり
抜け出した後、少しシュートを打つまでに時間があったんですが、あのときは意外と冷静になれていたというか。
時間があって選択肢が多い分、難しいこともあるんですけど、あの場面はしっかりキーパーを見て、出てくるまで待てました。
大事な試合でしたし、そこでゴールを取れたことは自分の中ですごく良かったかなと思っています。
チームの形としても狙いどおりの攻撃でした。千佳さん(加藤)が相手のセンターバックを引き出して、できたスペースを私とはなさん(高橋)が狙って一気に裏に抜け出したシーン。
徐々に、そういう形が作れてきています。
周りの選手とも、大体誰がこう動いたらここが開くよね、とか、そういうのを共有しながらできているんです。
今季はそうしたものを一緒に積み重ねてきているなと感じています。
でも後半戦に入ると、相手もすごくやり方を変えてきたりだとか、対策をしてくるので、その上で、打開していかないと勝てなくなるというのは感じています。
個人で突破していくのも大事だとは思うんですけど、やっぱりチームとしてどうやっていくか。対策されたときにどうやって点を取りに行くかとか守るかは、もっともっと突き詰めないと、この先苦しくなってくると思うので、しっかり練習で積み上げていきたいです。
◆再現性のある攻撃◆

今季のよい点として感じているのは、再現性のあるゴールが取れていることだと思っています。
たとえばクロスからのゴールは、自分だけじゃなく他の選手も決められている場面も多いです。
11月30日のゴールも、全部よかったと思うんですけど、3点ともトレーニングでやってきたことが出せているものでした。 ※最下部に動画あり
トレーニングでやっていたことが出せるのはすごく嬉しいんです。
みんなでやってきて、それを試合で出せるということが一番いいと思うので。
それを、どんどんどんどんもっと質を高いものにしていくことが、これからは必要なのかなと考えています。
11月30日の試合で言うと、美紀さん(伊藤)のカウンターからのゴールが一番気持ちよかったです。まさにトレーニングでやってきた形だったので、「これ練習でやったやつだ!」と思いながら走っていました(笑)。
自分自身で言うと、ニアにボールをくれるチームメイトのみんなにも感謝したいですし、ゴールを取れても取れなくても、そこに入っていくっていうところは、今一番意識しているところです。
◆チームのために◆
自分が点を取るのはもちろん大事ですけど、やっぱり周りの選手も点が取れて、チームが勝つことが一番だと私は思っています。
そういう感じもあってか、よく「フォワードっぽくない」とは言われるんですけど 笑。
でもゴールを決めたいという想いは他の選手には負けてないんじゃないかなとも思っています。
ただ、良い意味でも悪い意味でも、周りにすごく気を使う部分はあるかもしれません。
理想は、点を取ることも含めて、みんなを助けられるフォワードになりたいというか。
ゴールだけじゃなくて、守備でもそうですし、パスを受けて、ポストワークして時間を作るというのも、自分はすごく大事だと思うので。
◆初ゴールの喜び◆

今シーズンの初ゴールを取ったときは、みんなが自分のことのように喜んでくれたことがすごく嬉しかったです。
あらためて点を取って良かったなと思えたというか、「もっと取ろう」という気持ちにすごくなる瞬間でした。
なかなか点が取れなかった後だったのもあって、いつもより嬉しさを感じていたとも思います。
私自身は、ゴールを取った後にみんなで喜んでいる瞬間が、サッカーで一番好きな瞬間です。
ゴールを決めた人のところに集まって、誰がゴールを決めたか分からないぐらいみんなが集まって喜んでくれるところが、チームの雰囲気の良さというか、仲の良さが表れているところかなと思うので。
試合に来た時とか、配信で応援してくれているときに、やっぱりこの姿を見てもらいたいなという風に思います。
◆新潟L戦に向けて◆

次節は、アルビレックス新潟レディース戦です。
今、首位のI神戸と5ポイント差がついていて、もう負けられません。引き分けも許されない状況です。
まずは自分たちが、積み上げてきてるものを、目の前の試合で出すことが一番だと思います。
相手どうこうもありますけど、やっぱりやるべきこと、やらなきゃいけないことをしっかりチームとして出すことが、成長するためには必要だと思うので。
それを出すのと、やっぱり強いチームは、一試合を通して、最後まで質が落ちなかったり、ここぞというときに踏ん張れたり、得点をできたりするチームだと思うんです。
そうなるためには、集中力もそうですし、最後まで全員が走るところは、やらなきゃいけないと思います。
この試合が終われば少し間が空いてしまうんですけど、全て出すつもりでこの試合はやらなければいけません。
しっかり年が明けて次の年にしっかり良い形で入れるように、そういう試合をしたいなというふうには思っています。
◆優勝への想い◆
みなさんもそうだと思いますが、チームとして、タイトルを獲るというところを目標にしています。
何が何でも獲らなきゃいけないと思います。
昨シーズンは最後まで優勝争いをしていた中で、大事な試合、どの試合も大事ではあるんですが、勝たなければいけない試合を落として、優勝を逃してしまいました。
勝ちきる強さが求められていると思いますし、今は2位につけている中で、首位争いの試合を落としてしまいました。ここからは最後まで勝ち続けなければ優勝できないと思いますし、カップ戦も含めてタイトルを獲るというところは、今シーズンすごく意識しています。
もちろんどの試合も簡単な試合はないと思いますし、最後まで何が起こるか分からないので。しっかり気を引き締めつつ、その中でチームとしてもしっかり成長していきたいです。
強いチームと言われるようになりたいですし、しっかり最後まで戦うところはやらなければいけないと考えています。
◆ファン・サポーターとともに◆

ファン・サポーターのみなさんに対してですか。
アウェイでもホームでも、たくさんのファン・サポーターの方が来てくださって、応援してくださっています。
そういう方たちに負けた試合を見せたくありません。
やっぱり笑って帰ってもらいたいんです。
だから、自分たちが、最後まで諦めなかったりとか、最後まで戦って勝ち切れれば、ファン・サポーターのみなさんも、熱くそれに応えて応援してくれると思います。
そういうスタジアムで、一体となって試合を戦いたいと思っています。
だからこそ、まずは自分たちが、そういうプレーを見せることが必要だと思いますし、一緒に戦いたいと思ってもらえるようなチームになりたいと自分の中では考えています。
◆目指す選手像◆
私自身の目標は、なでしこジャパンに入ることです。
そのためにも、まずはチームで活躍することが不可欠だと考えています。どんな試合でも自分がチームを助けられるような、そしてファン・サポーターの皆さんに「島田芽依を見に行きたいからスタジアムに行こう」と思ってもらえるような選手になりたいです。
まだまだ足りないことばかりだと思うので、もっともっと練習して、質が高い選手になれるようになりたいです。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
インタビュー中に本人の言葉にもあったとおり、島田芽依は、気遣いの人なのだと思う。
公式YouTubeでも配信されている『SPOTLIGHT』では、インタビューの最後に、その選手の今季注目してもらいたいことを聞いている。
動画では、『クロスからのシュート』が採用されているが、実は、最初に彼女が書いたのは、得点をみんなで喜んでいるところ、という自分のことではなく、チームに言及する、まさに仲間想いの島田らしい選択だった。
ともすると、一般的にストライカーは、我が強く、個性が強烈な方がいい、というイメージがあるかもしれない。
だが、チームのため、仲間のためを想い戦う優しいストライカーがいてもいいと思う。
もちろん、彼女にFWとしての矜持がないわけではない。その上で、献身的なプレーをいとわず、チームと個の優先順位を見誤ることがないのだ。
それは、なにより大切なものが、チームの勝利だということを理解しているから。
そんな彼女だからこそ、今季初ゴールの瞬間を、スタジアム全体が喜んだのだと思う。
背番号15のフォワードが2025年を締めくくる一戦で、どのようなプレーを魅せてくれるのか。ぜひ、注目してほしい。
(文・写真/URL:OMA)


この原稿は、レッズレディースパートナーであるStoryHub社のプロダクトを活用し、人とAIが共創して作成させていただいております。
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